【魅惑のギャッベ】フクロウモチーフに秘められた、スペインと金沢を結ぶ手織りの物語
手織りの芸術品として知られるギャッベ。遊牧民の伝統が息づく温もりのある織物に、思いがけない場所で出会いました。
金沢の老舗旅館の一室に飾られていたのは、フクロウをモチーフにしたギャッベです。深い藍色を基調に、大きな瞳を持つフクロウが月光に包まれているような神秘的なデザイン。
制作者はスペイン出身の織り手で、金沢の伝統工芸に魅せられ、日本で活動を始めた方だと伺いました。イラン伝統のギャッベの技法に、スペインのモダンアートの要素を織り込んだ珠玉の一枚です。
フクロウのモチーフには「知恵」や「守護」の意味が込められています。遊牧民の暮らしの中で育まれた伝統的な図柄に、現代的な解釈を加えることで、新たな物語が紡がれています。
手織りならではの温かみのある質感、羊毛を活かした深い色合い、そして繊細な織り目。一枚のギャッベには、作り手の想いと技が凝縮されています。
インテリアとしての存在感はもちろん、床に直接触れることで感じられる自然な風合いは、空間に独特の安らぎをもたらします。
異文化の出会いが生んだ美しい調和。そこには、伝統を大切にしながらも、新しい表現を追求する作り手の情熱が宿っています。
手織りの魅力は、機械では決して真似できない、人の手が紡ぎ出す温もりにあります。それは時を経るごとに味わいを増し、世代を超えて受け継がれていく価値を持っています。